小さい頃、自分には童話の主人公のようなそばかすがあると思っていた。顔、髪、体などどこかしらに特徴を求める変わり者だった私は、幼く可愛げのあるように見えるそばかすは幸運にも色白の私にぴったりと似合う自分の個性だと自負していた。
だが大人になるにつれ、それは愛らしいそばかすではなく肝斑というものだと知った。主にストレスホルモンにより生成される、女性特有でいわゆるシミの一種という知識も得た。認識した時は結構な衝撃を受けた。肌をくすませのっぺりと広がるその強敵についていろいろ検索し、レーザーでは倒せないものだと知り皮膚科に駆け込んだ。
そこでトラネキサム酸が効果的と言われ、少量で5000円もする塗り薬を処方していただき、毎晩入念に刷り込んでみたがびっくりするほど効果は出なかった。ホルモンバランスのせいでニキビもできる時期は外に出たくないと思う位憂鬱になっていた。それから数年たった今、肌自体は潤いを保てているのでそれも自分の個性だと割り切り肝斑と共に過ごしている。
シミやくすみのない肌に憧れはするが、生きていた証として受け止めてもいいのではないだろうか。悩みは肌だけに尽きない。女性にとって美は永遠のテーマだという事をつくづく実感する日々である。